大清郵便局
大清郵便局旧址は、朱家角古鎮の西湖街35号に位置しています。この建物は中国伝統と西洋建築が融合した二階建ての煉瓦・木造構造で、敷地面積は約70平方メートル。南向きで通りに面し、背後には市河が流れています。裏門の外には石の階段が水上デッキとして張り出しており、かつて水運を利用していました。この建物は清代の武挙人徐福如の出資によって1910年(宣統2年)に建てられました。
幾度か修繕を経た後、現在は観光地として公開されており、国内外から多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。現在、上海郊外で唯一現存する大清郵政施設として貴重な存在です。建物正面には二枚扉があり、上部には右から左に刻まれた煉瓦の扁額*「朱家角郵局」*が掲げられています。さらに門前には新たに鋳造された蟠龍郵便ポストが設置され、象徴的なランドマークとなっています。
中国の郵便の歴史は古いものの、長い間正式な機関は存在しませんでした。1874年、中国海関が郵便部門を設立し、専任の郵便職員が配置されるようになりました。1896年3月20日、清の光緒皇帝が正式に上海大清郵政官局の設立を許可。その後1949年の中華人民共和国建国後、朱家角郵便局は中国人民郵政の一部となりました。
ここ朱家角の*“大清郵便局旧址”*は、清代そのままの郵便局ではありませんが、民国時代および建国初期に郵便局として長く営業していました。その独特の建築様式はよく保存されており、上海郊外において非常に珍しい存在です。
100年以上の歳月が過ぎ、かつての大清郵便局の建物はほとんど姿を消しました。上海大清郵局の30の支局・分局・内地局のうち、完全な形で現存しているのは朱家角のみであり、“歴史的完全遺構”と称されています。時代背景や郵政史の観点からも、朱家角のこの旧址は極めて高い歴史的価値を持っています。