和心園(西井街79号)
皆さま、ただいま私たちが訪れているのは、朱家角にあるもう一つの隠れた名園——和心園です。西井街79号に位置し、敷地面積は約3,000平方メートル。この庭園は、アメリカ在住の華人コレクター・趙国良氏が10年の歳月をかけ、70名以上の職人を招き、一つひとつ丹念に築き上げたものです。古建築と園林、そして各時代の貴重な文物を巧みに融合させた、非常に特別な私設庭園です。
和心園は、江南地方の邸宅が持つ優雅さと重厚さ、そして江南園林特有の繊細さと詩的な美しさを兼ね備えています。園内に展示されている文物は、随所に中華文化の奥深さを示しており、来園者に中国伝統文化の魅力を深く体感させてくれます。
園内の建物配置は厳格で秩序正しく、縁墨斎、承裕堂、滋徳堂、正心堂などの各ホールが美しく展開され、空間構成においても整然とした美があります。後庭には、特に注目すべき名所「和心亭」があります。これは清代嘉慶年間に建てられ、元は四川の長江源流地域にあったものですが、三峡ダムの建設に伴い、丸ごとここに移設されました。この亭の名が、園名「和心園」の由来となっています。
園林は蘇州式の造園技法に倣い、「歩くたびに景色が変わる」「曲がりくねった小径が幽玄へと導く」といった演出がなされており、至るところに驚きと風景がちりばめられています。
園内でもっとも貴重なコレクションの一つが、書法芸術の至宝とされる《小長芦館集帖》の原石50枚で、現在は碑廊に展示されています。他にも、清代の金糸楠木製の立式衝立、清初の黄花梨十二扇屏風、雍正期の紫檀三弯脚供卓、宋代の鉄製犀牛一対など、いずれも非常に貴重な文化財ばかりです。
特筆すべきは、園内に展示されている宋・元・明・清代の文物数百点が、間近で鑑賞できる点です。これにより、千年にわたる中華文明と訪問者が直接対話できる、まさに先駆的な文物展示の形を実現しています。