文化財保護

涵大隆醤園(かんたいりゅうしょうえん)


涵大隆醤園(かんたいりゅうしょうえん)
涵大隆醤園は、泰安橋の東詰、北大街237号に位置しています。この老舗は清代・光緒12年(1886年)に創業され、140年近い歴史を誇ります。

建物は江南地方の伝統的な商家の構造を持ち、西向きで、通りに面した販売店と奥の生産工場から成り立っています。煉瓦と木材で構築され、前庭・正屋・厢房(側屋)・後倉庫を含み、全体の間口は10.5メートル、奥行きは26.7メートルです。

古色蒼然とした石庫門の店構えが目を引き、外壁の両側には白地に黒で書かれた大きな「酱園」の二文字が掲げられています。その力強く雅な書は遠くからもひときわ目立ちます。内部の梁下や軒先、床から天井まで届く長窓には精巧な彫刻が施され、金色の装飾が建物に華やかさを添えています。2001年には青浦区文物保護単位に指定されました。

涵大隆の製品は、品質の高さと独特の加工法で広く知られています。中でも「双套晒油」と「玫瑰露酒(バラのリキュール)」は1915年のパナマ万国博覧会で銀賞を受賞し、「蜜清醇酒」は1987年の中国黄酒節で特等賞を受賞しました。

特に「双套晒油」は、上質な大豆を用い、自然発酵させた後、昼は日光に当て、夜は夜露にさらしながら熟成させる伝統製法で作られます。この工程により、芳醇で旨味豊かな極上の醤油が生まれ、料理に最適な調味料として重宝されています。

観光業の発展とともに、涵大隆醤園には今も多くの旅行者が訪れます。往時の風情を残す店先は人々に郷愁を誘い、写真撮影や買い物を楽しむ姿で一日中賑わいを見せています。この場所は朱家角の明清時代の老街を象徴する景観であり、多くの映画やテレビ作品にも登場する貴重なロケ地となっています。


クラブ茶館(江南第一茶楼)
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朱家角