古鎮の第一園・課植園の門前からほど近い場所に、西井街101号の水橋があります。ここは多くの観光客が船に乗り、水郷古鎮の景観を楽しむための出発点となっており、特別な趣があります。
かつてこの川沿いには船舫や数メートルの高さの*照壁(しょうへき)*が建っていました。園主の馬文卿(ばぶんけい)は、官職を買い求めた身分であったため、正式な官吏のように東向きの正門を設けることを避け、大門の前に照壁を置いて視線を遮りました。照壁の両側には2つの「司鼓亭(しこてい)」があり、賓客が訪れるたびに吹鼓手が笛や太鼓を鳴らし、鼓楽が賑やかに鳴り響いて歓迎の意を表しました。
現在は照壁も亭も失われましたが、門前の水橋はそのまま残り、馬家の興亡と時代の移り変わりを静かに見守っています。
水橋は外側に膨らんだ両面の馬鞍形(ばあんけい)で、プラットフォームは大小3枚の石板で構成されています。橋面の総幅は124センチ(それぞれ52センチ・22センチ・50センチ)、中央の石は彫刻のない素面です。プラットフォームは両側に向かって緩やかに傾斜し、各側に6段の石段があり、石段の幅は114センチ、高さ13センチ、奥行30センチです。
注目すべきは繋船石(けいせんせき)に彫られた「瓶升三戟」の図案です。花瓶から三本の方天画戟(ほうてんがげき)が伸びるこの文様は、「瓶(びょう)」と「平(へい)」の音が同じで平安・平順を表し、「戟(げき)」は「級(きゅう)」と同音で、古代中国では武器である戟が官階・地位の象徴とされていました。この「平生三級」は、明清時代の読書人が秀才・挙人・進士の三段階の科挙試験に合格することを願った終生の祈願を示しています。