文化財保護

禁網碑(きんもうひ)


禁網碑(きんもうひ)
青浦・朱家角古鎮の北大街242号「清渓人家飯店」の2階バルコニー東側の壁には、一枚の黒い石碑が埋め込まれています。一見目立たないこの石碑ですが、地元の名士・王昶と陸伯焜に深い関わりがあります。

碑のサイズは幅81cm、高さ31cm、青石製です。上部には黒色大理石の文物保護牌が掲げられており、2017年2月に設置された青浦区文物保護点の標識と、移動不可能な文物としての安全告示プレートがあります。

碑文には次のように記されています:

「西湖のほとりに建つ廟は遊覧船が集う場所である。我が松江・泖・澱の諸湖は百里以上にわたり、蛙・亀・魚・貝類が他郡に比べて非常に豊かである。漁船や簖戸が網のように水面に広がり、途切れることがない。古人は神の“生を慈しむ徳”を尊び、橋を建てて放生(生き物を放つ儀礼)を便利にした。我々も月初めに廟を訪れ、資金を寄進してこれを助けている。今般、役所に申請し、廟周辺3〜4里の範囲で網漁を禁止した。これにより和気が満ち、人々の善意が育まれ、参拝者や住民がより一層神を敬うようになるだろう。やがて廟宇が増築された時、私は再び記録を残すつもりである。」

撰文:王昶(光祿大夫・刑部侍郎、青浦出身)
書:陸伯焜(通議大夫・浙江按察使、青浦出身)

禁網碑とは、特定の水域での網漁を禁じる旨を刻んだ石碑で、当時の人々の環境保護意識を示す貴重な文化財です。こうした碑は、自然環境や生物多様性を守るため、地方官庁や寺院によって設置されました。

執筆者について:
王昶(1725–1806):字は徳甫、号は述庵・蘭泉。江蘇青浦(現・上海)出身の清代の文学者・金石学者。『光緒版青浦県志』巻17に伝記があります。
陸伯焜(1742–1802):字は重暉、号は璞堂。乾隆45年(1780年)に進士となり、浙江按察使まで昇進しました。陸家は名家で、明清時代に13人もの進士を輩出しています。


金宅(きんたく)
禁勒碑(きんろくひ)

朱家角