童天和国薬号(どうてんわこくやくごう)
大新街60号に位置するこの百年老舗は、朱家角で有名な童天和国薬号です。
店舗入口の石庫門(シクーモン・石の門構え)は清代当時のままで、門額には「童天和国薬号」の6文字が優雅に刻まれています。門の両脇には陽刻の木製看板が掛けられ、「童天和堂 各省薬材」と書かれています。
この店は清・光緒3年(1877年)に金文字の看板を改修しました。光緒16年(1890年)、童姓の店主は故郷寧波の同族から12株の追加資本を募り、経営を拡大。その資本は当時、朱家角の薬業全体の3分の1以上を占める規模でした。
童天和は、産地直送の本草薬材を厳選し、自社工場で加工・製薬を行うことで名を馳せました。薬工たちは熟練の包丁技術で漢方薬を調製し、六神丸、行軍散、人参再造丸など、丸剤・散剤・膏薬・丹薬の製造に卓越していました。
また、歴代の名医を招き店内で診療を行い、「名医と良薬の相乗効果」により、遠方から多くの患者が訪れるほど評判を呼びました。
1956年、国営・民営合同の改革で公私合営となり、1986年に童天和の屋号が復活。処方調合と老中医(ベテラン漢方医)の対面診療といった伝統も次々と復活しました。
2000年夏、店舗は全面的に修復され、清代当時の外観を再現。さらに貴重な製薬道具を展示するなど、朱家角古鎮を代表する観光スポットの一つとなっています。